【雑記】反トランプ報道記事についての感想:公平を装った偏向?


何もしない日常を過ごしていると、文字通り「ネタが無い」状況になってしまいますなぁ…。
今年は頻繁に更新していこうと思っていたのに。orz
ということで、久々の真面目ネタでも。

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分断の責任を負うべきなのは?

トランプ大統領が生み出したとされる「米国社会の分断」ですが、「分断」である以上、当事者は最低でも2勢力以上存在している訳で。にも関わらず、その責任が全てトランプ本人および支持勢力にあるとするメディアの論調には違和感を感じていました。

確かに複数の当事者が存在するから必ず双方に責任があるという訳ではないですけどね。
例えば、信号待ちをしていた車に後続車が前方不注意で突っ込む事故とか。事故の当事者は2台の運転手(=複数)になりますが、当然ながら全責任は突っ込んだ後続車の運転手が負うべきケース。こういった事例であれば、「どちらか片方が悪い」と言い切ることは可能でしょう。

しかし、国家元首を決める国政選挙の結果として分断が生じたという今回の事例で、その責任を片方のみに負わせるのは論理的ではないですよね。ましてや、正当な手続きに則って施行された選挙の勝者、すなわち民意によって選ばれた人物悪・悪者・分断の原因呼ばわりするのは公平&公正とは言えないでしょう。

一見公平な双方の声を伝える記事

という違和感を感じていた中、時事通信の記事を見かけました。

★参照リンク:新大統領就任、歓迎と批判=国民の溝深まる―米
〔Yahoo!ニュース〕

1月20日に行われた大統領就任式に関する記事。
反対派デモなどが繰り広げられ、米国社会の分断の溝が深まっていることを伝える趣旨の短い記事です。が、冒頭からこの様に切り出していきます。

トランプ氏は就任演説で「ワシントンから国民への権力移行」の意義を訴え、結束を呼び掛けたが、極端な主張を掲げ、暴言を繰り返してきたことから、大統領就任が国民にもたらした溝は深い

なるほど、トランプ氏が大統領になっちゃったから深い溝が国民にもたらされた、と…。

いや、あの、

選挙で選ばれたんですけど?

選挙で投票したのは誰なんでしょうか?
国民だと思うんですけど。
それが、選挙であり民主主義でしょ?

選挙によって生じた分断の責任は、どちらに投票したかに関わらず、国民にあるんじゃないのかなぁ。と思う自分はおかしいのでしょうか…? というか、そもそも「誰かが責任を負わなければならない」問題 or「誰かが正しく、誰かが悪い」という問題ですらないと思うのだけれど。

続いて本記事中では公平を期して(?)トランプ支持派&不支持派双方の声を紹介しています。本稿の主旨とは若干逸れますが、ちょっと面白い対比だったので内容を見てみましょう。

《支持派》
☆マリア・エリゾンドさん(76)
「同じような人々が支配層にとどまっていることに、国民はうんざりしている。(新大統領は)現状を変えてほしい」
☆ヒリー・グロスさん(75)
「政治家ではなく、ビジネスの感覚を持った人間が経済を改革し運営していくことが、この国には必要だ」
☆ロナルド・ホーンさん(65)
「移民制度を見直せば犯罪も減る。壁は必要だ」

※ビル・トンプソンさん(54)の声はクリントン支持者のため割愛

《不支持派》
☆プリスセラ・クルーズさん(16)
「人種間の憎悪を高め、弱い者いじめで権力をつかんだ」「どうしてあの人が大統領になってしまうのか、まったく理解できない」
☆ドルー・スジャーベンさん(31)
「思い上がっている。(大統領を)辞めてほしい」
☆ジャネット・ミムズさん(54)
「国の恥」「マイノリティーには、マイナスにしかならない」
☆シスタ・シュラリーさん(60)
「名前すら呼びたくない。私の大統領ではない」

現実に即した論理に基づいた願望&期待を支持理由に挙げる《支持派》の声と、感情論が先立ち攻撃性に満ちている《不支持派》の声。と対比出来るように思いません?

アメリカ社会で広がっている経済的格差や学歴格差により固定化されつつある階級構造打破への期待。停滞する経済活性化への期待。高い犯罪率(移民が原因かどうかの是非は別として)への危惧。《支持派》の声は、アメリカ社会に蔓延する諸問題という現実を直視した上で論理的に思考した結果の支持と思えます。ま、その結果がトランプ氏で良かったのかどうかは微妙な気もしますが、候補者がトランプ or ヒラリーの二択しかなかった以上は仕方ないのでしょう。

一方、《不支持派》の声を見てみると、
「弱い者いじめ」? 「思い上がっている」? 「辞めてほしい」? 「国の恥」? 「私の大統領ではない」?
うーん、「現状の何が問題で、こういう施策が必要だ」といった様な現実に即して論理的に導き出された声ではないですね。「あいつ(トランプ)はダメ」「自分が正義であいつは悪」といった個人の感情&主観にのみ基づいた声という印象です。

「悪いのはトランプ」と自らの大統領を諸悪の根源とするかの様な《不支持派》の声と、「大統領就任が国民にもたらした溝は深い」と分断の全責任を大統領に負わせようとしている本記事の執筆者の思想は似通っていますね~。

その結論早過ぎじゃね?

ここまでは支持派&不支持派双方の声を掲載することで一応の公平感を醸し出してきた本記事ですが、締めの部分で意味不明な結論を導き出します。

選挙では多くの人がアメリカンドリーム(米国の夢)を望んでトランプ氏に投票したが、「実際はイスラム教徒や黒人が攻撃され、状況は悪くなっている。彼が売り込んだ夢はホラーだった」と嘆息した。

まるで「トランプ大統領の様々な施策は結果的に失敗した!」というイメージ付けのオチになってますけど、これって大統領就任式当日に取材した記事ですよね? 大統領就任の宣誓をした直後で、まだ何一つ施策を実行していない大統領に対して早くも結論を下しちゃうんですか…。「状況は悪くなっている」だの「ホラーだった(過去形)」とか、仕事始める前から言われちゃうのか…。

そして、このシスタ・シュラリーさんのコメントを引用する形で終わらせている記事構成。
恣意的ですね~。

時事通信は通信社であって新聞社ではないので、単なる事実の伝達をすることが本分。
通信社の記事を引用した上で右寄りだったり左寄りだったりの論説&結論を付加して掲載する新聞社とは異なります。

が、冒頭で「大統領就任が国民にもたらした溝は深い」というトランプ氏への責任転嫁を匂わせる一文を加えた上に、この不支持派のコメントで締めくくる構成は「公平」とは言えない気がします。せめて「街にはトランプ新大統領に向けての期待と批判の声が入り混じって溢れていた」とか付け加えるべきじゃない? 何となく、取材者のコメントを引用する形で記者自身の信条を表明したという感じがしますね。

アメリカ大統領選絡みの個人的雑感

完全に蛇足ながら個人的な雑感を。

大統領選当日にケーブルTVで視聴可能なCNNの現地生放送を観ていたところ、スタジオに居る7~8人のコメンテーター(記者とか学者とか)が分析をする度に「大卒未満であるトランプ支持者たちは~」というフレーズを口にしていたのに物凄く違和感を感じました。筆者の稚拙な英語力では発言の50%程度しか理解出来なかったのですが、そのフレーズは文字通り全ての発言者が繰り返していたので解りましたよ。なるほど、「メディアはトランプ支持者を低学歴のバカ共とレッテル貼りしている」という批判ももっともだなとうなずける位の勢いでした。

「多様性」を重要な信条の一つとするはずの勢力が、大勢の人間を十把一絡げにして扱う様は滑稽でした。

この広い世界は「正か悪か」「右か左か」「保守かリベラルか」「敵か味方か」「愚者か賢者か」「嘘か真か」といった陳腐な二元論だけで出来上がっている訳じゃない。

「自分たちの教義・信条に賛同しない者は敵でありバカでありレイシストである」
そんなファシスト的思考には陥りたくないものだなぁと他国の騒動を見ながら思ったのでありました。
ぶっちゃけますと、朝日新聞支持だった若気の至りを反省しつつ。(爆